GW2050 Global MBA の学位を授与するのは、台湾の中信金融管理学院(CTBC Business School) の大学院です。同学院は、台湾最大級の金融グループ CTBCホールディングス(中國信託金融控股) が「人材こそ成長の源泉」という考えのもとに設立した、産業直結型の高等教育機関です。
中信金融管理學院 ・ 中信科技大學 ・ 中信國際學校 ・ 中國信託金融控股
CTBCグループの教育事業は、財団法人を通じて運営されています。大学・大学院を担うのが中信金融管理学院、半導体をはじめとする技術系人材を担うのが中信科技大学、幼児園から高校(K-12)までを担うのが中信国際学校。本プログラムはこのうち、中信金融管理学院の大学院部門が主体となって沖縄で開講するものです。
中信金融管理学院は4年制の私立単科大学です。日本の文部科学省に相当する台湾教育部の認可を受けた正規の大学です。台湾・台南市安南区、台江国家公園に隣接する約26ヘクタールのキャンパスを持ち、前身は2000年開学の興國管理学院。同学院にCTBCグループが資金を投じて再建し、2015年6月16日、台湾政府教育部の認可を得て「中信金融管理学院」として生まれ変わりました。
校訓は「公益為先、助弱扶優(公益を先とし、弱きを助け優れたるを扶く)」。教育目標に「全人發展、宏觀視野、精緻專業、產學攜手(全人的な成長、広い視野、洗練された専門性、産学の連携)」を掲げ、国際的な知能金融(スマートファイナンス)人材の育成を使命としています。グループの公益基金会と連携した奨学金・助学金制度を持ち、経済的な事情にかかわらず学業に専念できる環境と、卒業後の就職までを一体で設計している点が大きな特色です。
GW2050 Global MBA は、この学院の経営研究科 科技金融専攻の修士課程として開講されます。修了者に授与されるのは、台湾政府教育部が認定する正式な修士(MBA)学位です。
中信金融管理学院の実戦修士クラスは、「沖縄GW2050計画と地域創生 現地実践研修」を実施しています。受講生は仮想企業「日本中信商事」の一員として、豊見城市役所への地方創生戦略の提案、沖縄銀行への訪問調査、瀬長島再開発をめぐるヒアリングなどを行い、限られた時間で実行可能な事業計画をまとめて発表しました。GW2050 Global MBA は、この日台の実践的な往復運動を、2年間の学位プログラムとして本格化させるものです。
CTBCグループの高等教育は、2024年にもう一つの柱を得ました。台南市新市区の遠東科技大学に対し、2024年3月にCTBC銀行が1億台湾ドルを寄付。台湾教育部の認可を経て、同年8月1日に「中信科技大学」へ改名しました。源流は1969年創立の遠東工業専科学校で、1999年に技術学院、2006年に科技大学へ昇格した歴史を持ちます。
中信金融管理学院が金融・法律・経営・AIという「経営の知」を担うのに対し、中信科技大学は半導体をはじめとする「技術の実装」を担います。キャンパスは台湾南部サイエンスパークの至近にあり、産業界との距離の近さが特徴。教員・学生による特許取得は4,000件を超え、台湾の大学・専門学校のなかで第1位の実績を持ちます。
CTBCグループの教育事業は、大学院だけではありません。2017年に台南市教育局の認可を受けて開校した中信国際実験教育機構を起点に、現在は非営利幼児園(満2歳〜就学前)から小学校・中学校・高校(G1〜G12)までをカバーする一貫校群へと広がっています。
中信国際学校には3つのキャンパスがあります。中信金融管理学院と敷地を共有する台南キャンパス(G1–G12)、幼稚部から高校までを擁する台北キャンパス(K–G12)、そして中信科技大学と同じ台南市新市区にあるサイエンスパーク校(K–G6)です。
講義は英語で行われ、米国・カナダ出身の有資格教員によるバイリンガル環境を整備。台南キャンパスでは寄宿制を採り、面接による入学選考を行っています。師生比は約1対10。音楽・芸術・スポーツ・サービスラーニングを重視した全人教育が方針です。非営利幼児園では第1子2,000台湾ドル/月、第2子1,000台湾ドル、第3子以降は無償という、公益理念に基づく費用設計がとられています。
「中信」とは、CTBC=中國信託のことです。1966年に辜振甫・辜濂松らが設立した中華証券投資公司を源流とし、1971年に中國信託投資公司、1992年に中國信託商業銀行へと発展。2002年5月17日、株式移転により中國信託金融控股(CTBC Financial Holding)が設立されました。
現在は銀行・生命保険・証券・投資信託・ベンチャーキャピタル・資産運用など9つのグループ会社を擁し、台湾の銀行として最も広い国際ネットワークを持ちます。ブランドフィロソフィーは「We are family」。顧客・従業員・社会を家族としてとらえる姿勢が、公益事業と教育事業の土台にあります。
日本との関係も深く、2014年6月にはCTBC銀行が東京スター銀行を完全子会社化しました。外国の銀行が日本の銀行を直接傘下に収めた初の事例であり、以来、日台をまたぐ企業金融・アジア展開支援の実務が積み重ねられています。
そしてこの銀行の歩みは、世界へ出ていった台湾企業の歩みと重なっています。CTBC銀行はTSMC(台湾積体電路製造)のメインバンクであり、同社の株主名簿管理人(株務代理)を務め、社員への給与振込を最も多く扱う銀行でもあります。TSMCが熊本に工場を建設した際には、日本へ渡った数百人のエンジニアのために専任チームを組成し、熊本に拠点を設置。口座開設から住宅ローンまでを担いました。同じ体制は、米国アリゾナ州の工場にも広がっています。
顧客企業が海を渡れば、金融も渡る。TSMCをはじめとする台湾企業の海外展開と歩調を合わせて拠点を増やしてきた結果が、14の国と地域にまたがる、台湾の銀行として最も広い国際ネットワークです。CTBCのグローバル化は、自社単独の海外進出ではなく、顧客のグローバル化に伴走してきた歴史そのものでした。本プログラムが扱う「地域の企業が世界とつながる方法」は、この実務の蓄積の上に立っています。
銀行は、製造業のように「年商(売上高)」で規模を測る業態ではありません。預金を集めて貸し出すという構造上、実際に用いられるのは主に4つです。①預金・貸出を含む総資産(事業の規模そのもの)、②営業収益・純収益(資金利益+役務収益。事業会社の売上高に最も近い概念)、③当期純利益、④ROE・ROA(資本と資産をどれだけ効率よく使ったか)。加えて健全性の指標として自己資本比率(資本適足率)が見られます。CTBCの数値は次のとおりです。
CTBCグループの事業は金融にとどまりません。プロスポーツ、公益宝くじ、警備。いずれも「We are family」という理念のもと、台湾社会の日常に接し続けるための事業です。3つのプロチームは、いずれもグループ会社の中國信託育樂が運営しています。
CTBCが14の国と地域へ事業を広げていく過程で、繰り返し突き当たったのが人材の問題でした。金融、法務、テクノロジー、そして異なる文化のなかで意思決定できる人。こうした人材は、採用市場で待っていても十分には現れません。
そこでCTBCが選んだのは、自らビジネスに即した学校をつくり、人材を育て、供給するという道でした。金融・法律・経営・AIという学部構成も、産学が共同で設計するカリキュラムも、卒業後の就職までを射程に入れた設計も、すべてこの一点から導かれています。
その射程は年々前倒しされてきました。大学院から学部へ、学部から高校・中学・小学校へ、そして幼児園へ。今日のCTBCグループは、2歳から社会人まで、一つの教育観で貫かれた学びの階段を持っています。
GW2050 Global MBA は、その階段の最上段を沖縄に接続する試みです。地域経済をけん引する人材を、地域のなかで育てる。それはCTBCが台湾で半世紀以上かけて実践してきたことと、まったく同じ発想に立っています。
GW2050 Global MBA は、台湾の学位授与機関と、沖縄の地域振興プロジェクト、そして日本の経営教育機関による共同設計で運営されます。